「実質利益100万円なのに赤字」のカラクリ
実質的には利益が出ているのに、
帳簿上は赤字になるというカラクリは、
会計初心者の方には、若干わかりにくいところですね。
ここで実例を挙げて、ご説明しましょう。
木造モルタル建てのアパート(4部屋)を3000万円で、
30年のローンを組んで建てた人がいるとします
(説明の便宜上、土地は最初から持っていたことにします)。
家賃収入は、1部屋当たり月5万円で、年間60万円
4部屋とも1年間埋まっていたら240万円の収入になるというわけです。
部屋は年間8割程度埋まっていたとしまして、
年間収入が192万円ということになります。
で、減価償却の話です。
この建物の資産価値は3000万円です。
木造モルタルの建物は耐用年数が20年なので、
1年間に5%ずつ減価償却していくことになります。
ということは、3000万円X5%で、150万円を減価償却費として計上できるのです。
さらに、この人はローンを組んでアパートを建てていますから、
その支払利子も経費として計上できます。
利率が2.5%として、3000万円X2.5%で75万円。
この75万円が支払利子として計上できます。
減価償却費150万円に支払利子75万円を足せば、
225万円です。
この時点ですでに、家賃の年間収入192万円を大きく超えています。
これに、不動産屋への支払いや建物の修繕費など、
様々な雑費の経費が全部で50万円あったとします。
すると、経費は全部で275万円となり、
80万円以上の赤字になるのです。
で、実際のお金の出し入れはどうなっているかも計算してみましょう。
収入は192万円、これは全額現金で入ってきますね。
出ていくお金は毎月のローンが10万円くらいなので、年間120万円程度です。
そして不動産屋への支払いなどのもろもろの経費が50万円、
固定資産税が20万円として全部で190万円。
つまり入ってくるお金(192万円)のほうが、
出て行くお金(190万円)よりも多いことになります。
なのに帳簿上は、80万円以上も赤字が出ているのです。
もちろん、この収支は、入室状況などによって変わってきます。
もし満室の状態がずっと続けば、
赤字はもっと少なくなりますし、
部屋の空きが多ければ、赤字は多くなるということです。
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